涙のスパイス

 

カメラロールにある、意図せず増えるホーム画面のスクショ、何枚あるかで勝負しようぜ!

ぼくです。こんにちは。

 

 

ふと思い出した話があるんですけど、小学校の時の話なんで、時代に沿わなくても許してください。

 

当時、小学校の通学路に、おじさんが自宅横でやってる小さいたこ焼き屋さんがあったんですよ。

近くに公園もあって、そのたこ焼きを買って公園で友達と遊びながら食べる、みたいな日がすごく楽しくて、よく行ってたんですよね。

 

そこは結構いろんな新メニューを出すお店で、たこせんだったり、明石焼き、揚げたこ焼き…って、たこ焼きの派生が少しづつ増えていって。

で、あるとき、学校の帰りにふとそのたこ焼き屋さんを見たら、

 

カレー始めました 500円

 

って書いてあって!!

 

いや!たこ焼きシリーズから一気に飛び出して、カレー売ってるやないかい!!!!って思って、食べたくて仕方なくなったんですよ。

たこ焼き屋のカレーっていうのが、なんかこう、不思議と魅力的に感じて。

けど、小学生が外でひとりでカレー食べることなんてないじゃないですか。家に帰ったらおばあちゃんがつくったご飯あるし。

 

 

それでもどうしても気になって、それから数日たった土曜日。

当時はゆとり教育に変わりかけの時代だったんで、土曜日が半日授業だったんですよ。

いつもなら家で焼きそばなりチャーハンなりを食べるんですけど、この日こそがカレーチャンスや!と思って、登校前、おばあちゃんに、

「今日ちょっとおひるあんま食べれん!」

って言って、カレーの舌(下)準備をしてましてね。

 

 

で、学校終わりダッシュで帰って、速攻ランドセル置いて、貯金箱から出した500円握りしめて学校へUターン。

たこ焼き屋さんで、

「ハァハァ…あ、あの、、カレーください!!ハァ・・ハァ・・・」

って息切れしながら注文したら、店のおじさん、多分、新メニューのカレーがほぼ出てなかったんでしょうね。めちゃ嬉しそうで。

 

『よっしゃ!ちょっと待っとけよ!すぐするからな!!』

 

って言って、カウンターの中、おじさんが、スーパーの品詰めするときのロール状の袋があるじゃないですか。

あれを1枚ビリッて取って、広げて、ペースト状の茶色いモノを、ビニール袋におもむろに詰め出したんですよ。

 

 

(えっまって・・・これなに・・・?今からカレー作るってこと・・・・????))

 

嫌な予感がするぼくをよそに、

 

『ボウズ!おまけしといたるからな!』

 

言うて、もうその袋のギリッギリまで茶色いペースト状のなにかをオラッ!オラッ!って詰め込むおじさん。

 

小学生のぼく、これなんの時間?って思うんだけど、その状況にポカーンとしちゃって何も言えず・・・

パンパンになった茶色い袋を、ねじって縛って、更にもう1枚の袋に入れて。

 

 

((ウソ!!そんなわけないよなっ!!))

 

 

((!やめてッ!!それ!!!絶対俺に渡すなよ!!!))

 

 

((やだ!ほしくない!!いらない!!!!))

 

 

 

 

 

 

 

『ほいおまたせ!!!500円!!』

 

 

 

((終わった~~~~ッ!!!!!))

 

 

 

((ペースト状のルー、いらね~~~~~!!!!))

 

 

 

 

ぼくがなけなしの500円で買ったの、おじさんが独自にブレンドした謎のカレールーでした。

 

 

※イメージ

 

 

たしかに張り紙には、ルーとも、ライスとも書いてなかったんですよね。

 

 

とはいえ!!!!

 

 

こういうときは普通!!!!!

 

 

ライスだろ!!!!!!!

 

 

誰がお前!たこ焼き屋でカレールー買うねん!!!!!

 

 

けどおじさんの嬉しそうな顔を見たら、いりませんとか、思ってたのと違いますとか、絶対言える空気じゃなくて、

 

 

 

「あっ、ありがとうございました…」

 

って言って、ダッシュで逃げました。

 

 

背中に聞こえる

『おう!ありがとな!!!』

の声。

 

手には茶色いビニール袋。

 

恥ずかしくて火照る顔。

 

涙で滲む目。

 

ペコペコのお腹。

 

手には茶色い・・・ビニール袋・・・・

 

 

その後の記憶がないんでわからないんですけど、もしかしたら今でも通学路の何処かに、パンッパンの茶色い袋が落ちているかもしれません。

 

 

おわり

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